宵月ノ雫~幕末恋綴り~ 参ノ章 桂小五郎
- 万延元年、春。
桂小五郎は有備館用掛として江戸の長州藩邸に滞在していた。
身分に似合わぬ気さくさで誰にでも分け隔てなく接する桂と
藩邸女中であるあなたは、他愛もない言葉を重ね、心を通わせていく。
だが、やがてあなたが江戸を離れる日が訪れた。それからおよそ二年後。
雨の降りしきる京の都で、あなたは桂と偶然の再会を果たす。
ずぶ濡れの桂に傘を差し出し、自身の働く料亭へと招き入れたあなた。
懐かしい思い出話に花を咲かせるうち、いつしか雨は上がっていた。
雨宿りをきっかけに、桂は度々店へと足を運ぶようになるが、
そこに桂を追う新選組の影が近づいていた――。