昔々、とある王国に美しい少女がおりました。
ですが少女は、王様の妾腹の娘でした。
エルダート国王と城の召使いのあいだに生まれた少女。
あくまで召使いの娘として慎ましく暮らしていた少女ですが、正妃とのあいだに子息しか持たない国王は、少女をとても大切にしていました。
国王が少女の今後を真剣に考え始めていた矢先、遠方の軍事国家に牽制をかけられ、国の情勢が一変してしまいます。
そんな騒乱の最中、少女の母が倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
悲しみに暮れる少女に追い打ちをかけるように、彼女たち母子をよく思っていなかった正妃の謀略で、少女は城から連れ去られてしまいます。
目隠しをされ、長い暗闇の時間を馬車に揺られ連れて行かれた場所は、エルダートから遠く離れた国、クロスフィア王国でした。
これは、悲運の少女と自由奔放なクロスフィアの王子たちとの物語――。